2023年2月5日まで開催されていた、大竹伸朗展に行ってきました。
大竹伸朗さんの作品を観るのは、2014年の横浜トリエンナーレ以来でした。
大竹伸朗さんといえば、スクラップの組み合わせやコラージュ作品が印象的でしたが、今回は絵画やドローイング作品もあり、また作品数も500点のボリュームで見応え満載でした。
画面中央やや左の、零戦と漫画風の少年の顔のあるコラージュ作品は、大竹さんが幼い頃に作ったものとのこと。まだちゃんと保管しているのにちょっとびっくり。
こういったドローイング作品の展示も。今まで作品をいくつも見ているのもあり、特に違和感なく大竹さんの作品として捉えられました。こういった作品も素敵ですね。ぼくは好きです。
スクラップとも思えるものを組み合わせた作品群も。これらの作品は大竹さんを象徴するようなものに思えます。
このコラージュ作品での、このワード群のチョイス、気になります。「車の中クンクンや」?
個性的な作品群の展示方法も美しく、美術館で見る・空間を楽しめるの1つですね。
この「ニューシャネル」、どこかの扉なのですが書体がすごく印象に残るものですね。大竹さんも気に入っているのか、Tシャツとして販売もされています。知り合いでこのTシャツを着ている人がいるのですが、元ネタを見たのは初めてでした。
大竹さんを象徴する多くのスクラップブックの展示も。分厚いスクラップブックが大量に展示されていました。
コラージュ作品の上に絵の具などの塗料を無造作に落とし、その上に透明なボードを乗せたと思われる作品。発想の根源に興味をそそられました。
個人的にこの作品が1番印象に残りました。アメリカの英語表記はよく「米」と略されますが、そのアメリカ部分を全て漢字で表記してあり、いろいろくすぐられました。
東京国立近代美術館の2階フロアにも展示が。
大掛かりな作品もあり、ミュージシャン用ライブ舞台をモチーフとしていると思われる作品も。
今にも演奏できそうな楽器がいくつもあり、またコラージュ・スクラップも多様され、不思議な魅力の作品。
鑑賞を終えた帰る直前に大きな音(参考1)がするので、戻ってみると無人のステージで演奏が開始されてました。その音色は特定の楽曲の演奏などではなく、楽器が無造作に音を奏でている集合体のような。
舞台から振り返ると、舞台の正面にあった作品に大竹さんがおり、音色を手元の機械で操作しているようでした。(参考2)実際に音色を奏でられ、また作品の一部で演奏ができ、大竹さん本人がいたことに、冷静にテンションが上がりびっくりしました。
演奏終了後には緞帳(どんちょう)もしっかり閉まり、本格的な作りに、ただの展示物ではなくしっかりとしたステージ作品なんだと、知れることことが。
退館の際に出口付近行くと、同じタイミングで大竹さんも帰宅されるようで、その状況に鉢合わせ。展示作品も素晴らしかったですが、偶然の重なった貴重な体験も得られました。
開催されていたゲルハルト・リヒター展に、行ってきました。
以前から存在と作品は知っていたものの、実物を見たことがなかったので興味津々で伺いました。
終了間近にいったので、鑑賞者も多くいました。
ゲルハルト・リヒターの代表作の「ビルケナウ」。アウシュヴィッツについての作品。
現地の写真を元に制作され、その上にさまざまな塗料によるアブストラクト・ペインティングのもの。そのサイズ感と4枚という枚数、また複雑に入り組んだそその配色により、かなり強い印象を受けました。
8枚のガラスが、不規則に傾いたこの作品。反射しているその姿がそのまま作品になる、というもの。絵画の作品の印象が強かったので、これも作品なのかと驚きました。
ゲルハルト・リヒターを想起させるこのグリッドの作品。規則正しいマス目に並んだ不規則で鮮やかな色彩が、ただただ綺麗だった。
ぼくの仕事柄、こういったマス目に複数の色の配色をすることがあるのですが、近似色をなるべく近づけずに、レイアウト・配色していくのは結構難しいんですよね。また作品を制作の際に、どこにどの色にするのか、の発想の原点が気になりました。
このグレーの作品は、何層にも塗り重ねられており、一見なんの絵柄もないようにも感じますが、実際目の当たりにしてみると、その深みを感じられました。どこかの建造物の一部のようにも見えます。
写真を元に忠実に描いた作品。よく見てみないと、絵画なのか写真なのかの違いが、わからないほどのものでした。写真を忠実に描いていく作品に、なぜかとても興味を持ちました。日常の一瞬から、それを絵画として描いているからなのかな。
この「ストリップ」も、ゲルハルト・リヒターを想起させる作品の1つのように思えます。色彩鮮やかな直線がいくつも並んでいますが、ただ美しいですよね。グラフィックデザインに通じる要素もあるかと思っています。
この作品も、写真を元に描かれた作品。写真をプロジェクターに投影し、それを描いたそうなのですが、その影響なのか輪郭やボヤッとしている印象。ただ遠目で見たり、その説明がないと写真にも見える不思議な作品でした。
写真に油絵具などを塗っている、この「オイル・オン・フォト」シリーズもよかった。
写真に油絵具が塗られることで、現実と空想の両方を感じられ、その境目に混乱するような。写真をモチーフにした作品が、ぼくが好きなのが今回で気付かされました。
ゲルハルト・リヒター展、よかったです。とてもよかったです。最近の展示ですとオラファー・エリアソンがよかったですが、それと同等に。これだけの規模のものを次はいつ見られるかわかりませんが、次も楽しみです!
お台場のチームラボボーダレスに行ってきました。
以前オープンしたての際に行っていましたが、今年の8月31日に閉館するのを知り、再訪を。
閉館理由は、パレットタウンの再開発のため。かなり大掛かりな再開発ですよね。
以前行った際に見逃した作品があり、「またいつか来なきゃ」と思っていので、よいタイミングでした。8月20日ごろに行き、閉館前で夏休み真っ最中なので、結構混んでいるかな?と思いましたが、それほどではなく、ゆったり過ごせました。
複数のライトを描写し、音楽に合わせてさまざまな形状や表現をしてた「Nucleus of Life」。前回見落としていましたが、美しかった。ただただ、その魅力に引き込まれました。
「地形の記憶 / Memory of Topography」は、時間と共に色味や表情が刻々と変化。やや傾斜しているのですが、その移動も楽しめます。
前回に見落とし、今回は必ず見たいと思っていた「ランプの森」。
いろいろなCMなどで使われていますが、ここすごかった。ここが作品の中で1番だったかも。
ライトの明るさや絶妙な高さ調整、また4面が鏡なのもあり、とても幻想的な、非日常な空間でした。
「Wander through the Crystal World」も、やはり綺麗でした。
吊り下げられた帯状のLEDが、粒状で等間隔で配置。色味や発光方法が、次々変わっていき、その物量に圧倒されます。
チームラボボーダレスの象徴的な空間、「人々のための岩に憑依する滝 / Universe of Water Particles on a Rock where People Gather。」
相変わらず多くの人が足を止め、作品と空間を楽しんでいました。最初、この空間の画像を見たときは、とても圧倒されていました。
この作品「花と人の森、埋もれ失いそして生まれる / Forest of Flowers and People: Lost, Immersed and Reborn」を見るたびに、蜷川 実花さんを思い出します。なにか関連あるのかな?
今回も2階の「運動の森」へ。
「グラフィティネイチャー 山山と深い谷 、レッドリスト / Graffiti Nature – High Mountains and Deep Valleys, Red List」を今回も楽しみ、今回はオオサンショウウオを。やはり自分が描いた作品が、うねうね動くこの作品は楽しいですね。
この作品、「呼応する生命の森 / Forest of Resonating Life」は以前は浮いているものもあったのですが 、今では置いてあるだけのものに。
それでもこれだけ大きく、量がたくさんがあると、やはり美しく魅力的な形になりますね。
「秩序がなくともピースは成り立つ / Peace can be Realized Even without Order」、これも不思議な魅力と空間の作品でした。
薄暗い空間に、人の大きさほどの薄い透明なパネルに絵柄が投影されていて、それが何列も何列も並んで展示されている作品。パネルが透明なため、奥の作品も見え、すごく深い奥行きを感じられます。また色味みの鮮やかさも手伝って、魅力が増していました。
こんな素敵な施設がなくなってしまうのは、とても残念に思っていましたが、2023年に虎ノ門・麻布台辺りで復活予定とのこと。すでに公式サイトも、用意されていました。新しい施設の内容・作品も、楽しみです!
開催されていた、オリンピック・アゴラに行ってきました。
オリンピック・アゴラは、オリンピックの歴史・精神や与えた影響などを、アート作品を通じて伝える・表現するイベント。
地下鉄の三越前駅付近の地下通路では、暖簾(のれん)にオリンピックのさまざまなシーンを描いた作品の展示が。
展示数も多く、また表現内容・絵柄もほぼ全て違ったので、見応えありました。
日本橋付近には、オリンピックマークのオブジェの展示が。
やや小雨が降っていましたが、多くの人が足を止めて楽しんでいました。
このマークをこの大きさでこの近さで見れると、やはりテンション上がりますね!
コレド室町周辺では各国の国旗をモチーフにした、提灯型の照明が設置されていました。
いろいろアレンジ・デフォルメされており、どの国のものなのかを想像するのも、ちょっと楽しかったです。
コレド室町の大屋根広場には、オリンピックをモチーフにしたアート作品の展示も。
カラーリングされた5人の人物がいるのですが、自然とオリンピックのことを連想させますね。
室内展示の「オリンピック・スピリット展」へ。
この展示内容、すごく良かった。オリンピックの歴史を見られる箇所が多数あり、TOKYO2020だけでなく、今までのオリンピックのことを俯瞰的に知ることができて、すごく充実した内容でした。
第1回目、1896年アテネ大会のポスター。残っているのがびっくりですが、このような内容だったのですね。
ここ最近のものも展示してあり、見覚えのあるポスター・エンブレムには親近感が湧きました。
1968年のメキシコ大会のグラフィックは他のオリンピックに比べ、かなり特徴的なグラフィックだったと、以前グラフィックデザイン系の記事で読んだことがあります。
見た記事は見つけられませんでしたが、このコンテンツ(音量:注意)でエンブレムを元に展開された各種ツール・グッズが見られるかと思います。
ここでは、聖火についての展示が。
歴代の聖火のトーチの展示。これだけの数と実物を目の前で見られたので、ここもテンション上がりました。
それぞれが個性を持ち、また思ったよりも大きいので、聖火ランナーの方たちはこれを肩の高さまで上げながら走るのは、結構大変だろうな、と想像が膨らみます。
開会式や閉会式で利用された、衣装の展示も。
国柄やその文化が反映されたものばかりで、ここでもつい足が止まります。
さらにここでは、歴代のメダルの展示も。
1900年のフランス大会のメダルは、四角形だったのですね!円形以外のものはあったとは!
歴代のさまざまなメダルを見られましたが、1998年の長野冬季オリンピックのメダルが、ぼくには1番素敵に感じました。日本人というひいき目があるかもしれませんが、漆(うるし)という金属以外のものを用いていたのは、これだけでまた黒のつやに存在感・重厚感があり、すごく良かった。
今回の大会でいろんな選手が掲げていた、メダルと同様のものの展示ももちろんありました。
室町エリアにある福徳神社(芽吹稲荷)では、このような大きなオブジェの展示も。
時間の経過により色が変化し、いろいろな選手・国を連想させます。
無料で見られたオリンピック・アゴラ、かなり見応えありました。オリンピックが開催された国ならではの展示だったかと思っています。次、日本で夏季オリンピックが開催される時に、元気に歩き回れるような状態か全然分からないので、この機会に体験できることができ、貴重なものになってかと思っています。
2021年7月1日〜9月5日まで開催されているパビリオン・トウキョウ2021の、草間彌生さんのオブリタレーションルームに行ってきました。
2012年ごろにこのブログ記事で知っていた、このインスタレーション。日本で、東京でこのタイミングで行われることを知り、テンション高めで事前予約を行い、楽しんできました。
このインスタレーションは、真っ白な部屋に正円でカラフルな、大小さまざまなシールを好きな場所に貼っていくというとてもシンプルなもの。
ただその貼られた円形のシールが、来場者や貼られるシールの枚数が増えれば増えるほど、草間彌生さんを感じられる空間へと変化していく、というもの。時間が経てば経つほど、室内のシールは増えるので、同じ表情の空間をずっと保つのは、難しいですよね。
東京2020オリンピック・パラリンピックに合わせて開催されているのもあり、ちょっと昔の日本を感じられる内装やオブジェも。
自分のシールで模様を作っている人・絵柄や文字にしている人もいれば、全然ランダムに貼っている人もいて、壁や床などの各所で貼った人たちの痕跡や楽しんだ雰囲気を感じられます。
以下のYouTube映像にあるように、開始されて来場者が増えれば増えるほど、シールが貼られれば貼られるほど、空間内の表情はどんどん変わっていきます。このブログで掲載の状態はもう全然見られないのかも。期間終了後の室内とか、どこかで発表・共有されないかな?どんな感じになるんだろう?とちょっと気になります。
もうすぐ終わってしまいますが、もし予約が取れるようであれば、ぜひ!おすすめです!
オリンピック期間中に開催・展示されているパビリオン・トウキョウ 2021。そのうちの1つである、代々木公園内にある藤本壮介さんの作品、Cloud pavilion(雲のパビリオン)を鑑賞へ。
オリンピック開催中・放映中のため、NHKの入り口には「特別警戒中」と、大きな表示が。
国立代々木競技場でも競技が開催されているため、周囲はオリンピック仕様で、フェンスなどの仕切りが。またこんな近くでオリンピックが開催されている感覚がまったくなかったので、テレビ画面の中の出来事ではなく、少し身近に感じました。
代々木公園の木陰のベンチでは、強い日差しを避けながら休憩している人たちが。またシートなどを敷いて、くつろいでいる人たちも。
オリンピック記念の宿舎の近くに設置されている、藤本壮介さんのCloud pavilion(雲のパビリオン)。園内の雰囲気とは一気に異なる雰囲気で、存在感満載でした。
公園の原宿側出入り口にも近いため、多くの人が撮影を。
原宿駅と代々木公園をつなぐ橋があるのですが、その名前は五輪橋。1964年のオリンピックの際に作られたもののようで、橋には競技の様子のレリーフも。今回のTokyo2020の装飾がされており、新旧の東京オリンピックも感じることができました。
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